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天狐あやかし秘譚

第112章 神機妙算(しんきみょうさん)


だから、お前はもてないのです!冴守!
この、生真面目マシーン!朴念仁!!

などと、心の中で毒づくが、彼の言ってることは誠に正論なので、結局、土門はブスくれた顔をして押し黙ることになる。視界の端では菊理媛があくびを小さく噛み殺しているところだった。

そんなあくびなんかしていないで、早く・・・早く私と宝生前さんとの縁を結ぶのです!

呑気な様子を見せている菊理媛を見て、土門は若干じれていた。というのも、かの菊理媛の神力による都合の良いラッキースケベを期待する土門にも、ちょっとした懸念があったのである。

実は、昨日、宝生前との縁結びを願い出たあと、宝生前についてアレやコレやと説明している際のことだった。最初は菊理媛も割と乗り気で聞いてくれていたように思ったのだが、土門がスマホで隠し撮りをした宝生前の写真を見せて、ポツリと『宝生前はゲイなのです』と言ったことで、その流れが大きく変わった。

『え?この方と・・・貴女の縁を結ぶのですか!?ほ、本当にそれで、いいんですか?』

あからさまに抵抗のあるような表情を示したのだ。どうやら、縁結びの神様は、相手の性的指向を捻じ曲げる恐れがあるような縁結びにはあまり乗り気ではないようなのだ。

そんなの、分かっているのです!
そういう障壁があるからこそ、神であるあなたに願いを託しているのです!!

結局昨日は、必死になって何度も何度もお願いをして、やっとのことで引き受けてもらったのだ。それでも、なんとなく、渋々といった感じで『ま、まあ・・・貴女が、今回の願いとしてそれで良いとおっしゃるなら・・・』と承諾してもらったというのが事の次第である。

気が進まないのかもしれないですけど・・・だからこその神頼みなのですっ!
本当に、そこんところよろしく頼むのです。

私の人生の春は、貴神(あなた)にかかっているのですからっ!!
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