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天狐あやかし秘譚

第112章 神機妙算(しんきみょうさん)


とつぜん陰陽寮主催の大水泳大会の企画が持ち上がって、水着で泳いでいた私のブラが取れちゃったところに、偶然、宝生前さんが居合わせてドキドキ♡しちゃうとか・・・

いや、さすがにそれはないか・・・、でも、突然の仕事の依頼があって宝生前さんと私がバディを組む・・・なんていう偶然ぐらいは平気で起こり得るのです♡

そんな事がいっぱいあって、どんどん私と彼との距離が縮まって、縮まって・・・
そして、絆がギュッと・・・ぎゅぎゅっと結ばれる・・・のです・・・

きゃっ♡

こんな事を考えて、ぽやぽやしているのだ。いつもおかしい土門の様子が、今日はなおさらおかしいことにほとんどのスタッフが気づいていた。しかも、この妄想、顔だけではなく、声にも漏れている。『むふふふふふ・・・』『そう・・・そして、ちゅうを・・・』などと不気味な含み笑いをしたり、ブツブツと独り言を言っているものだから、皆のドン引き具合たるや推して知るべしである。

そんな中、朝の会の司会進行役を務める冴守だけは、そんな土門の『異変』に気づかない様子で、淡々と自らの責務をこなしていく。

「その後、11時に宮内庁から宮園様が8月に実施される全国戦没者追悼式に出席される陛下の安全管理にかかる神占儀礼の日程打ち合わせにいらっしゃいます。こちらは土門様が・・・ん?」

冴守が土門の確認を取ろうと顔を上げる。さしもの彼も、この段階で土門の様子がおかしいことにやっと気づいたようだった。

「んんっ!土門様!土門様!」

少し大きな声を出すと、土門が、ハッとしたような顔を冴守に向ける。

「き、聞いてるのです!大丈夫なのです!!」
「では、たった今私が申し上げた、土門様の11時からの予定はなんですか?」

真顔で問い詰められ、土門は声をつまらせる。
自分の妄想に忙しく、全く聞いてなかったのだ。答えられなくて当然である。

「ううっ・・・!」
「聞いてらっしゃったんじゃないんですかっ!」
「ううう・・・」
「真面目にやっていただかないと困ります!」

こ・・・こ、こいつ、こいつ!
上司に・・・、こんな可愛い女の子に恥をかかせるなんて!
そこは、聞いてないな、って思ったら、
『〜のご予定は大丈夫ですよね?』みたいにさり気なくフォローするのが大人の男の所作なのです!!!
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