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天狐あやかし秘譚

第109章 寤寐思服(ごびしふく)


♡ーーーーー♡
【寤寐思服】寝ても覚めてもその人のことを忘れられないこと。
私の心も身体も全部、全部であなたを愛します♡、みたいな。
♡ーーーーー♡

「はい・・・あーんして♡」

彼女は肉じゃがのじゃがいもを器用に箸でとり、俺の口元に運んでくれる。遠慮がちに口を開けると、『もう!それじゃあ、お口に入りません!』と言うので、仕方なくもう少し大きく口を開いた。
ふー、ふーと息を吹きかけて、さらに自分の唇に少しだけ触らせて温度を確かめた上で食べさせてくれるので、熱すぎることもなく、俺は肉じゃがを食べることができていた。

初めて彼女が、こんなふうに唇にちょっと触れさせてから食べさせてきた時、『間接キス♡なんちゃって♪』とか言われて、咳き込みそうになったが、今ではすっかり慣れてしまったから恐ろしい。

彼女・・・そう、日暮美澄が俺の家に来るようになって、早一週間が経過していた。思えば、この人がいきなり訪ねてきた最初の日は、それはそれはびっくりしたものだった。
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