第107章 末路窮途(まつろきゅうと)
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【末路窮途】行き止まりの道に立たされ、みじめな末路をたどること。
追い詰められて、にっちもさっちもいかないぞ・・・、みたいな。
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俺の親父はクソ野郎だった。
あいつを『親父』と呼んでいいのかすらわからない。生物学的な父、という突き放した言い方のほうがまだしっくり来る。
それじゃあ、母親はどうだったかというと、母はそれに輪をかけてクソだった。
もともと母の家は華族とかなんとかで、そこそこの資産があったようだが、母の祖父、俺からすれば曽祖父の代で身代を食いつぶし、没落したそうだ。俺の『母』が生まれた頃には、その日食うのも精一杯というほど赤貧に喘いでいたらしい。
そんな家に嫌気が差したのか、『母』は若い時分にそこを飛び出し、単身、上京した。もちろん15〜6の女がまともな職を得られるわけもなく、体を売って稼いだ金で男の家を渡り歩くような生活をしていたらしい。そんな女だ。水商売の世界に入るのも、まあ当然の流れだった。
そこで真面目に働いたかというとそんなことはなかった。
どこで覚えたのか知らないが、結婚詐欺のようなことを繰り返すようになった。
多分、きっかけは身の上話をした男が『結婚しよう』とか言い出したことだろうと想像できる。最初のうちは、結婚する気もないくせに、思わせぶりな素振りを見せて、男に貢がせるだけ貢がせて、最後は手酷く振る、なんてことを繰り返していたみたいだ。
そのうち、もっと効率のいい方法を見つけたようで、わざと既婚男性を誘惑して、身体の関係に持ち込み、散々貢がせた上、妊娠したと嘘をついて更に金を巻き上げる。そして、頃合いを見て、妻に関係をしていることをわざとバラした上で『自分は妻子があることを知らされていなかった』などと騒ぎ立て、裁判を起こす、慰謝料を請求するなどと脅しをかけ、示談金をせしめて別れる、という詐欺まがいの手口を覚えていった。
あの女に家庭をめちゃくちゃにされた男は両手の指の数では足りないほどだっただろう。
ところが、そんな女でも『寂しい』という気持ちがあったのか、詐欺行為とは別口で男と関係していた。それが、木元康一という男・・・さっき言った俺の『生物学的な父』だ。