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天狐あやかし秘譚

第13章 合歓綢繆(ごうかんちゅうびゅう)


全裸でバスルームを出る。いつだったか、タオルを巻いたまま出たら「色気ない」と一蹴されたことがある。それ以来、バスルームを出る時は、全裸で出ることに決めていた。

窓の外にはきらめく都会の町並みが星の海のように広がる。シティビューのスイートルーム。経費で泊まるホテルにしてはとてもゴージャスだが、これも天下国家を守護する陰陽寮、その一流術師の特権、というわけだ。

「相変わらずゆっくりやな。シャワー・・・おっそいな、瀬良ちゃん。」

瀬良ちゃん言うな・・・。

間接照明がほのかに照らすダブルベッドの上、備え付けの雑誌をめくりながら待っていたらしい彼は、ニヤニヤと笑いながら言う。彼もまた全裸で、上掛けをかけている。

彼の名前は土御門(つちみかど)加苅

宮内庁陰陽寮陰陽部門の祓衆の中でも最高位の術者。陰陽寮の中で、長官に当たる陰陽頭(おんみょうのかみ)に次いで高い位である『助の一位』という位階を授けられている。陰陽寮実戦部隊の最高位である彼は、実質上、この日本で最強の術者と言える。

「はよきてや。もう、待ちくたびれたわ・・・」

上掛けを払い、私をベッドの上に誘う。歩み寄って、ひざまずく。これは、けじめだ。
「瀬良夕香・・・土御門様にお勤めさせていただきます」

瀬良家は、300年以上前から土御門家の補佐を務める家柄だ。瀬良家の者は土御門家が執り行う祭祀や占術、祓えの補佐をする習わしとなっている。幼い頃から土御門家に使えるのだということを体の芯まで叩き込まれる。

そして、瀬良の女にはもうひとつ、重要な役割が与えられる。

土御門家の術者の霊力を高めるための、奉仕をするお役目だ。
遠く中国古来より伝承されている、古代道教の流れをくむ、男女の交歓を通じた発気術、房中術を行うことが、瀬良家の女性には義務付けられている。

そのため、6歳の時分から身体の手入れの方法を入念に習い、また、12の年からは既に男性を歓ばせる術を仕込まれていく。キスに始まり、手や口での陰茎の扱い方、舌や指を使い菊門を悦ばす術、己の胸や足を使った男性の性欲の昂らせ方・・・。
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