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天狐あやかし秘譚

第101章 興味津々(きょうみしんしん)


符の一枚一枚が猫神になって地面に降り立つ。土門の『夜魂蝶』や九条の『白鷺姫』の多体勧請と同じ理屈だ。自律性の高い式神だからこそできる高等召喚術。しかも、私の猫神はたくさんいるほどに、その特性を活かしやすくなる。

ニャンコロード

猫神二匹で作ることができる短距離瞬間移動術である。距離は50メートルほどに限られるが、その間にどのような遮蔽物があろうが、直線的な移動を可能にする。猫神の「ほんの小さな隙間さえあれば入り込める能力」とこのニャンコロードを駆使すれば、私に入り込めないところなんてないのだ。

「行って、にゃんこーず!敵は呪力を使っている。霊力密度が高いところを探してちょうだい!」

「「「にゃ!」」」

一斉に短く返事をすると、あちらこちらに猫神が散らばっていった。日が暮れ始めている。遠くで汽笛の音が聞こえる。こうしている間にも、船は出港し続ける。託宣では、月の照らす夜、とあった。それがいつなのかわからないけれども、急ぐに越したことはない。

お願い、にゃんこーず
早く、早く愛理さん達を見つけてあげて・・・

私は紫に染まり、一番星がきらめき始めた空に向かって、必死に祈っていた。

しかし、このときの私は、とある可能性に気づいていなかったのだ。いや、少し考えれば分かったのだが、愛理さんの安否に気を取られて、そこまで気が回らなかったと言った方が正しい。

そう、敵はあの『薬』を作り出したのだ。
敵の中にも呪術を扱う者がいる。そして、私の放った呪力が、そいつに探知される可能性だってあるのだ。

私が宵闇に向かって祈りを捧げている時、背後に一つの影が忍び寄っていた。
そして・・・

ボクっ!

後頭部に強い衝撃を感じ、そこがカッと熱くなった。
瞬間、ぐらりと景色が歪む。あ・・・後ろから殴られたんだ、と思ったときにはもう遅かった。

薄れゆく意識の中、戦闘体験があまりないくせに前線に出てきてしまったことを、私は悔やんでいた。
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