第11章 針小棒大(しんしょうぼうだい)
顔を上げた先、目の前には平机を前に正座姿で茶をすするダリの姿。そして、ダリの横では待ちくたびれたのか、大の字になって清香ちゃんが眠っていた。
帰ってきた・・・の?
目の前の光景が認識として脳に沁み込んで来る。じわっと目の端に涙が浮かび、腰が抜けたようになる。
「ダリぃ〜・・・」
ヘナヘナと座り込む。なんで何ごともないかのように茶をしばいているのかわからないけど、とにかく安心したよぉ・・・。
「どうした?綾音・・・?」
立ち上がるのにダリが手を貸してくれるが、腰が砕けてなかなか立ち上がれない。やっとのことで立ち上がると、そのままダリに抱きつくようになってしまう。
ふわっとダリの匂いがする。それで更に安心してしまい・・・。
ぼろっと涙がこぼれた。
「綾音・・・主、何を連れてきた?」
ダリが私を抱きしめたまま声を低める。
え?
思った瞬間、どごーん!と背後の扉が炸裂するような音がする。
ケッタケタケタケタケタ・・・・
ケッタケタケタケタケタ・・・・
ぎゃー!!!来たぁー!!!!
見なくともわかる。この妙な笑い声は、さっきまで私を追いかけ回していた大口開けた般若の首だ。
「よ・・・妖怪!妖怪!!!だ・・・ダリぃい!!!」
私はダリの後ろに隠れるようにする。なんとかしてぇ!!!
ダリが私をかばったままジリジリと後ずさる。
「ほお・・・笑い般若とは・・・古典的な・・・」
フッと鼻で笑っているようだ。さすが・・・妖怪の総大将!
「貴様ぁ!!!なにもんんだあああ!その女は拙者・・・んんっ・・儂のもんじゃあ!邪魔するなら!頭から食い尽くしてやるぞお!!」
般若がものすごい大音響で怒鳴りつけてくる。地獄の底から響くような重低音。
こ・・・怖い・・・怖すぎる・・・。
ギュッとダリの着物の裾を掴む。
「怖いのか?綾音・・・?」
「こわ・・・怖いに・・・きまってるでしょう・・・」
あまりの怖さにさっきから半泣きだ。身体が震えてしょうがない。歯の根が合わないとはこのことだ。
ダリが般若の方を向く。