第7章 一途
「……すまない」
静かに、彼は言った。
そのまま雪に埋もれて消えていきそうな声だった。
「迷惑をかけたな、三日月……改めて、頼む」
一瞬、意味が理解できなかった。
「俺を、斬ってくれないか」
あぁ、そういうことか。彼は、自らとその恋人の命を終わらせようとしているんだ。
でも、でも………
鶴丸国永は、何もしていない。歴史を歪めたのは前の審神者だ。彼は、ただ巻き込まれただけで。
きっと判断は私が下すべきなのに、私には否定する勇気も肯定する強さもなかった。
そんな私の迷いを見抜いたのだろうか。
鶴丸国永は、小さく息を吐いて、静かに続けた。
「一度、死んだ理を覆している。それに……主の死霊と混ざり合って、この身体はもう、穢れと瘴気でぼろぼろだ」
どこか、安堵すら含んだ声だった。
「……もう、いいんだ。終わりにしてくれ」
その言葉が、やけに穏やかで。
だからこそ、何も言えなくなった。
三日月さんは、しばらく黙って彼を見つめていた。