• テキストサイズ

【刀剣乱舞】逃げてもいいですか?【完結】

第7章 一途


 終わりは、驚くほど呆気なかった。
 
 長義さんの「策」が遺憾なく効果を発揮したからである。


 1時間ほど前、手入れ部屋にて。

「前の審神者が鶴丸国永の正体だと仮定しよう」
 山姥切長義は言った。

「偽物くんの体の自由を奪ったり、刀剣男士を近寄せなかったりする力に現状苦戦している訳だが、ひとつ解決策がある」
 目を見張った。なんだろう。私のポンコツな脳みそだとまるで思いつかない。

「簡単な話だ。主従の契約を貴女と結び直せば、彼女との縁が切れる。そうすれば、彼ないし彼女の言霊は効かない」
 なるほど。たしかにそうだ。主従の縁さえ切ってしまえば言霊は効かない。でも…

「……後悔はありませんか」
 ぽつりと心の声が漏れた。いつのまにか俯いていた顔を上げて長義さん、国広さんを見る。

「愚問だ。ある訳がない」
「…珍しく気が合うね、俺も同意見だよ」
 国広さんと、長義さんが順に答えた。

「……あと、人は多い方がいい。豊前江、さっきから話は聞いているだろう?そろそろ出てきたらどうだ?」
 国広さんがそう、廊下に向かって言った。

「……参ったな。バレちまってたか」
 そう言って、廊下に待機していた筈の豊前江が部屋に入ってくる。

「聞いていたなら説明しなくても構わないね?
今から主従の契約を結ぶのに、君も異議はない筈だ」
 長義さんが有無を言わさぬ口調で言った。

「もちろん!」
 豊前江はにかっと笑いながら答えた。白い歯が眩しい。

「では、みなさん、はじめましょうか」
 私は緊張を抑えて、はじまりを告げた。

「俺こそが長義が打った本歌、山姥切____」
「山姥切国広だ____」
「郷義弘が作刀、名物、豊前江____」


 手入れ部屋が白い清らかな光で満ちた。

 ごっそり身体中の霊力を持っていかれる感覚がある。くらくらして、思わず倒れそうになったのを、国広さんに支えてもらってしまった。

 しばらくすると、くらんだ視界も元に戻ったので、支えてもらった礼を言って元の姿勢に座り直る。

 長義さんが、かすかに息を吐いた。

 国広さんは何も言わなかったが、なにか覚悟を決めたようだ。その様子を見た豊前江は口の端を吊り上げて、笑った。

「借りは、戦場で返すってわけだ」


 その後、私たちは雪の降る本丸へ向かった。
/ 83ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp