第7章 一途
……正確には消したつもりだった。
鶴丸の記憶だけはなぜか、消えなかった。
時間を巻き戻して、部隊を早々に帰還させて、全員が無事だという報告を受けて、気が抜けていたところに、彼はやってきた。
要件は察したので、近侍の三日月に少しの間席を外すよう伝えた。
「なんてことをしたんだ」
2人きりの執務室で、静かにそう言うと彼は目を伏せた。
その一言で察することができた。
もう、私には彼の隣に立つ資格はない。
「政府に出頭しよう。如何なる理由があろうときみのしたことは許されない」
彼は優しい目で諭した。
「鶴丸、刀を貸して」
私は言った。
ずっと考えていたことだった。どうせバレたら政府に口封じに殺されるか一生牢に閉じ込められるかの2択だろう。
歴史修正の罪は重い。そんなことは承知の上でやったことだった。
だったら、彼の腕の中で死にたい。
「…駄目だ、生きて罪を償うべきだ!」
「っいいから、貸して!!」
言葉に力を込める。恋人といえど、主従関係は変わらない。無理矢理、彼の腰から本体を奪った。
こういう時、どこを斬れば楽に死ねるのかな、首かな、手首かな、お腹かな。
怖いな、血がいっぱい出るんだろうな。
迷った末、私はお腹に刀を向けた。
「やめてくれ…駄目だ…罪から逃れるためにそんなことを…」
「ごめんね」