第7章 一途
「正体は……前の審神者だ。
そうだろう?」
世界が止まった。
吹雪の音さえ、遠のいた気がした。
痛いほどの静寂が頭の中でガンガンと響く。
これまでの違和感が一気に繋がって、霧が晴れる。
鶴丸国永が折れた正史。
巻き戻された本丸に、言霊という強制力。
そもそも折れた刀剣が自らの死を捻じ曲げるなど、無理な話なのだ。
刀剣男士にはセーフティプログラムがある。しかし、審神者にはそれがない。
前審神者は霊力が豊富だった。歴史改変だって可能だったはず。
言霊は、審神者が自らの刀剣男士に向かって使うものだ。それこそ安全装置として。それが、山姥切国広や今ここにいる刀たちに向かって使われた。
これらの違和感が示す真実は一つしかない。
「……歴史改変を行ったのは前の審神者で、なんらかの形で鶴丸国永の肉体を乗っ取ったんだ」
数十分前に山姥切長義からそう聞かされた。
喉がからからに乾く。寒気が止まらない。
彼の推理は果たして当たっているのだろうか。
何時間にも思えるような長い長い数秒の沈黙の後、“それ”は笑った。
「……流石だな、元監査官!」