第6章 さよならだけが
ついに、山姥切国広が目覚めた。
開かれた、翡翠の瞳は不安げに揺れていた。
「写しは偽物じゃない……」
「そんなことは今どうでもいい。鶴丸国永がどうしたんだ!?」
いつも通りの言葉の応酬に、長義さんは少し緩んだ顔を見せた。しかし、すぐに厳しい顔をつくって、自らの写しの、先程の発言の真意を尋ねた。
「鶴丸のことはきちんと説明するから、先に聞かせてくれ。あんたは誰だ?」
私の目を見て、山姥切国広は聞いた。
そうだ、こちらは手入れもして彼のことを知ったつもりでいたが、私たちは初対面で挨拶もしていない。
自分は新しく政府から派遣された審神者で、彼が重傷で見つかったので手入れをしたことを伝えた。それから、手入れが終えても今に至るまでずっと眠っていたことも。
「そうか……手入れをしてくれたこと、感謝する」
状況を飲み込んだらしく、彼は私に頭を下げた。
慌てて、私は、審神者として当然の義務だと伝え、それより話の続きをするように彼に頼んだ。
「この本丸で折れた刀がいる歴史が改竄されたことは間違いないんだな?」
「はい、それは揺るぎない事実だというのが政府の見解です」
嫌なことを振り払うように、小さくかぶりを振ったあと、山姥切国広は静かに、語り始めた。