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【刀剣乱舞】逃げてもいいですか?【完結】

第6章 さよならだけが


 幸せだとか健康だとか、目に見えない大切なものは失ってはじめて気付くのだと知ったのはいつだったか。

 成績とか学歴とかそんなものに追い立てられていたら、いつのまにかそれらは私の手の平から溢れていた。

 ふと、そんなことを思い出した。


「...にわ!審神者!!しっかりするんだ」

 平和というものも、失ってから気付く類のものだったらしい。

 目の前の銀髪の綺麗な人が大声を出している。青い瞳は宝石に例えたくなってしまうほど美しい。ああ、母の誕生石がたしか青い宝石だった気がする。小さい頃図鑑で見たあの宝石の名はなんだっただろう。トパーズでもアクアマリンでもなくて。

「審神者!あの2人を止められるのは貴女しかいない!仮にも本丸の主になったんだ、しっかりしろ!」

 うるさいな。無理を言わないでほしい。あの2人を止められるわけないだろう。こんな社会の役に立てないゴミカスが人の上に立つなんて鳥がましいことをしようと思ったのがそもそもの間違いだったんだ。私はあのままベッドの上で何もできずに朽ちていく運命だったんだ。

「そうだ、サファイア......」
「は??」
 せっかく宝石の名を思い出したのにそんな怪訝な顔をしないでほしい。


 自分でも知らないうちに気が狂ったのかもしれない。そう思いながら私は今の気持ちを素直に話すことにした。というより、本音と建前を繕うことができなかった。

「......長義さん、無理です。あの2人を止める?三日月さんは真名を握られてる以上いつでも私との主従関係を逆転できる。鶴丸国永に至っては、まだなんの縁も結んでいないから私の言葉になんの力もない。
もちろん物理的にあの2人を止めることなんてできるわけがない。ああ、刀剣男士が審神者を傷付けると、傷が跳ね返るんでしたっけ。それを利用して死ぬ覚悟で2人の間に飛び込めば....」

「ちがう!そんなことを言いたいんじゃない!冷静になってくれ。俺たちに指示をくれ。俺たちはもう貴女の刀だ」
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