• テキストサイズ

【刀剣乱舞】逃げてもいいですか?【完結】

第5章 正体


 誰も喋らない空間で豊前江は1人落ち着かなさそうにしていた。
彼が気を利かせてなにか話題を作ろうと口を開きかけた時、別の人物が沈黙を破った。

 山姥切長義である。

 ついに、貝のように閉じられた桜色の美しい唇を開くことにしたらしい。

「審神者。今まで黙り続けていてすまなかったね。…詫びというわけでもないが、俺からも情報を提供させてほしい」
 情報。今は喉から手が出るほど欲しい。なんだろう。

「ただ、審神者と2人きりで話をしたいんだ。薬研と豊前は少しの間で構わないから席を外してくれないか。…頼む。」
 山姥切長義は、美しいが高慢な性格をしていると聞いた。そんな彼が、この短い時間に謝ったり他の男士に頼みごとをしたりしている。これは只事じゃない。

 同じ気持ちが2人にも湧いたのだろうか、薬研藤四郎と豊前江は顔を見合わせた後、長義さんに向かって頷いた。

「何かあるといけねーから、俺たちは少し離れた廊下で待機してるぜ」
と豊前江が言い残し、2人は部屋を出て、戸を閉めた。

 山姥切長義と2人きり……いや、寝てるとはいえ国広さんもいるのだが。

 緊張で手汗が止まらない。先ほどから忘れていた息苦しさも戻って来たせいもあって、身体中にじっとりと汗をかいていた。

「これはあくまで偽物くんの様子を見ていた、俺の見解に過ぎないんだが…」
と前置きをして、彼は語り始めた。

 外の雪は、今も、吹き荒ぶ。
/ 83ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp