第4章 探偵ごっこ
広間では6振りの刀が談笑していた。
加州清光、薬研藤四郎、にっかり青江、蛍丸、山姥切長義、豊前江である。
彼らは挨拶の時とは違い、姿勢を崩して食卓を囲んでいたが、三日月さんと私の姿を視界に認めると、しゃんと背筋を伸ばした。
「審神者さん、三日月、おかえり!
国広の手入れお疲れ様。薬研に手入れが終わった後二人でどこかに向かったって聞いたけど…?」
先陣を切って加州清光が口を開く。
「あぁ、ただいま。主とたった今逢引きしてきたところだ」
「み、み、み、三日月さん!?!?なんて言い方を!!!!」
語弊しか生まれない言葉を平然と返す三日月さんにぎょっとして、どもりながら突っ込んでしまう。
まさか『神域に行ってました〜』なんて呑気に言うわけにいかないのは分かるけど、それにしても言葉選びがおかしいだろう!
はっと、6振りの様子を伺う。
話しかけてくれた加州清光は目をあんぐりと開いて三日月さんを見つめているし、にっかり青江は意味深に笑っている。豊前江と蛍丸は顔を見合わせて今にもからかいだしたそうにしているし、薬研藤四郎に至っては「やるなぁ、三日月の旦那」と実際に煽り出した。
山姥切長義だけは表情を崩さず、じっと考え込むような素振りを見せているのが、なぜか、怖い。美人の真顔の迫力たるや……
「いや、その、ただ執務室で作業をしていただけですから!三日月さんは付き添ってくれていただけで…!」
としどろもどろに私が説明するが、誰も聞き入れてくれそうになかった。
「ふふ、密室に2人きり…」
さらに、にっかり青江が火種を撒くので、加州清光はもう可哀想なほど顔が真っ赤になってしまった。
変な空気になってしまったのを、掻き消すように私は声を張り上げた。
「あ、あの!!私、みなさんと仲良くなりたくて…!普段どんなふうにこの本丸で過ごしているか教えてくださいませんか…?あとそれと……」
「それと?」
豊前江が続きを急かす。
「……お腹が空いたので、もし昼食の余りとかがあればいただき…たい…です……」
なんだか気恥ずかしくて後半にかけて小声になってしまった。
「じゃあ俺ご飯よそってくる!!待ってて!!」
早くこの場から離れたかったのだろう、そう言うなり、勢いよく加州清光は立ち上がり御厨へ向かった。