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【刀剣乱舞】逃げてもいいですか?【完結】

第3章 どこでもない場所


「簡単にまとめると、色々な意味で危険な本丸の中で説明する訳にもいかなかったから、ここに呼んだという訳だ。
あの空間は呼吸するだけで、魂が弱るからな。
説明をする時間すら惜しかった。
その点、神域は時間という概念が存在しないから、こうやって長話をしても問題がない」

 そう言って、彼は天上の細い月を指差した。つられて見上げると、結構な時間が経った筈なのに、月は微動だにしていない。ここにいる間は時間が流れない、ということらしい。

「いきなりこんな場所に連れてきた俺が言っても信用がないかもしれんがな…

審神者殿を、もう一度現世に、無事に返すことを約束しよう。

たとえ本丸がどうなろうと。この身が折れようと。

だから少しの間、俺たちに力を貸してほしい。頼む」


 彼は深々と私に頭を下げた。

 正直に言うとかなり迷った。
だって、なんで真名を知っていたのかはまだ判明していないし、前任の審神者の事件の犯人は三日月さんで、今のは全部口からでまかせだった…なんて可能性さえある。
そもそも力を貸してくれと言われたって、何をしたらいいのか分からない。


 なにより、逃げたかった。

 明らかに事件性がある本丸に、落ちこぼれ審神者の私を説明なしに放り込んだ政府のことを、もう完全には信じられそうになかった。

 家族に見捨てられ、友人は去り、頼った先の政府もきな臭く、行き着いた先の本丸も何が本当か分からないし、しかも(彼の言葉を信じるなら)このままだと瘴気に蝕まれる…

 散々だった。もう頭の中はぐちゃぐちゃで何を信じればいいのか分からなかった。
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