第3章 どこでもない場所
たっぷりと間を置いて、彼は唇から人差し指を離した。
「名前のことは教えられないが…」
彼は続ける。
「なぜここに連れてきたかは説明しよう。理由を説明することこそが理由、でもあるんだがな。長い話になるが、聞いてくれるか?」
そう言ってくすくすと遠慮がちに笑う。
言葉遊びで私を惑わそうとしているのだろうか。頭がおかしくなりそうだ。しかし、ここに連れてきた理由は説明してくれるらしい。続きを急かすように私は頷いた。
首肯する私をじっと見つめると、三日月さんは先ほどまでの笑みを消して、真剣な面持ちで語り始めた。