第1章 薬屋
ザァァァ···。
静かに揺れる水面。
小さな港町には、今日もゆっくりとした時間が流れていた。
活気に溢れ、港町には買い物客であふれている。
そんな港町の森の奥深くには、コケ生やしたレンガ造りの家がポツンと立っていた。
外見は空き家のように古臭く、周辺には獣が出そうな雰囲気ではあるが、綺麗な小鳥の鳴く声だけが響いている。
ガサッ。
そんな中、トラファルガー・ローは鬱蒼とした草を踏みしめながら〖魔女の薬屋〗へ足を運んだ。
木でできていたドアを開けば、カランカランと客を告げるベルが音をたてた。
ローか薬屋へ入ると、様々な薬草の匂いを感じた。
古びた窓ガラスからは、ぼんやりした光が差し込むだけで店内は薄暗い。
棚に陳列された大きなガラス瓶には、乾燥させられた葉が詰まっていた。
瓶にはそれぞれタグが付けられている。
その他には、小瓶に入った丸薬などが少々値段付きで置かれているだけ。
「いらっしゃいませ」
店の奥でゴリゴリと薬研で薬草をすり潰していたは、着ていたローブのフードを深く被り、店の方へと出て行った。