【aph】セカイはいつか飽和して【dc】【prsk】
第1章 邂逅事変
︎︎その日、僕はお昼を食べるためにとあるファミレスに寄った。正直この店に寄ること自体何らかの危険感があったからだけど、それでも早急になにかしらを口に入れないと死んでしまいそうな気がして仕方がなく手短にある店に何となく飛び出た。メニューは適当に一時的にお腹が脹れるものでいい、そう感じて適当にサイドメニューぽそうなフライドポテトとドリンクバーを頼んだ。
︎︎僕の右のテーブル席にはどこかで見たことがあるような気がする眼鏡の男の子と黒髪の女子高生、左の仕切りを挟んだ向こう側には人気声優を彷彿とさせる声が響く外国人団体がいる。
(地獄……)
︎︎ああ、適当にその辺の席に座ったのは本当に失敗だった。いや、そもそもこの街のファミレスに寄ったこと自体が間違いだったかもしれない。フライドポテトを急いでお腹の中に放り込む。案外これだけでも結構満足感が高い。
︎︎ペロッ、と指先に付いた塩を舐めた。ほんのりしょっぱい感じがするけど、悪くないような気がした。
︎︎どうせドリンクバーも頼んでいるのだから取りに行っても悪くない。そのついでにトイレにでも行こう。ドリンクバーの1杯でも飲めば帰ろう。
︎︎トイレの奥の扉の違和感に気がついたのはそのすぐ後だ。
(なんで、あそこだけちょっと半開きなの?)
オートクローザーで閉まるはずの個室の扉が、不自然な角度で止まっている。嫌な予感が背筋を撫でたが、僕は吸い寄せられるようにその扉に手をかけた。
「……っ」
︎︎視界に映ったのは頭の片隅で想像していたものだ。
「っはぁ……」
︎︎呼吸ができたのはそれから少し経ったあとだ。酷く焦っている自分と、恐ろしいほど冷めている自分が共存している。
(……まあ、死体なんて珍しくはないからね)
不謹慎な思考だと自嘲しつつも、僕は一度トイレを出た。近くの席には頼れそうな面々がいるが、僕が直接声をかければ不審がられるだろう。
(それに僕だと多分上手く話せない)
僕はスマホを取り出し、震える指でメモアプリを起動した。「奥の個室に人が倒れている」という簡潔な文章を打ち込み、通りかかった店員に見せる。店員が息を呑み、確認に行こうとするのを止めようとしたが、一歩遅かった。
「きゃぁぁああ!」
︎︎悲鳴が響いた。