第1章 初恋
「角名ぁ!また鏡花とイチャついて、そんなに俺等に自慢したいんか!」
「絶対あらへんと思っとたんやけどなぁ。もう一年立つんやろ?」
「うるさい」
部活の休憩中にあつむとおさむで囲まれている角名が鬱陶しそうに目を向ける。
「こんな塩野郎のどこがええんか?」
「鏡花、モテるんやから他の男もおるのに」
「だからうるさい」
その中でぽつんと背の小さい女がわたわたしているのを見つける。
その手はしっかりと角名の手を握っている。
「あつむとおさむ。あんまり鏡花をイジメんな。」
「きたさーーん!!部活中にイチャつくのがわるいんちゃいますかぁ!」
「せやせや!」
「……角名、部活中はやめんといてくれるか?」
「わかりやしたー」
なんとも、反省している反応ではないが。
あまり人の恋愛に同行できるようなすごい人間ではないので深く言うのはやめておく。
「鏡花も、早く仕事せな。溜まっとるやろ」
「ほんまにすいません」
鏡花は、一年の時からマネをやっていている。
身長がちっこい代わりに素早く動けるからそこがええ。
部活が終わるとすぐに角名は片付けをして鏡花にくっつきに行く。
それを見て心臓が少し痛くなるのは気の所為やろか。
「……はぁ」
誰にも聞こえへんような小さな声でため息をつく。
鏡花は、俺の初恋やった。