第2章 弱音
「僕からは、何もしないから」
「…ジュン…ス…?」
「そうだろ。こんな弱みに付け込むような事はしたくない。」
「……ッッ」
「でも、雅からなら、どうぞ?」
「……ッ」
そう言われた雅。
「もう、大丈夫…ッさっきのはそう言っちゃっただけ」
「…そか」
嘘だと見透かしているジュンスだったものの、言った通りに雅には触れてこなかった。
その時だ。
ヴーー…ヴーー…
何度も震えるその携帯。ジュンスに触れたいという欲望から逃げるためにだけで、雅は通話に出る。
『何回電話してると思ってんの?』
「それは…」
『さっきの、取り消して今来いよ。』
「今は…ほんとに無理…」
『は?マジで言ってんの?』
「ん…」
『なら今夜遅くなってもいいし?』
「…ッッ…行かない」
『は、マジで言ってる?』
「ほんとだよ…行かない」
ぷつりと切り離せば、鞄に押し込んだ雅だった。
「はっきりと断ったんだな」
「…だって…今日は…」
「…今日は?」
「……ッッジュンスに…会いたかっただけで…」
「ふぅん…じゃぁ、今夜の雅の時間は僕がもらえるって事だな」
そう言えばジュンスは小さくも笑っていた。