悪役令嬢に転生したけど推しが中の人だった件について
第16章 神楽坂蓮と『氷の薔薇』
その言葉に、場の空気が少し和らぐ。
「ヴァイオレット嬢の中に別の人格が存在する?……これは面白い仮説だ」
ノエル様は目を輝かせ、水晶版に必死でメモを取り始める。
彼の筆は止まらず、まるで新しい物語の断片を記録するかのようだった。
「まぁ、ギャップは倒れてから多々見られるが……怒ったヴァイオレットはあんな感じだぞ。
むしろ、前より穏やかになったくらいだ」
ユリウス様は診療を見ながら、ポンと私の頭に手を置いた。
その手の温もりに、少しだけ心が落ち着く。
――だが。
「違う」