悪役令嬢に転生したけど推しが中の人だった件について
第16章 神楽坂蓮と『氷の薔薇』
「……ルシアン様。あなたは何を仰っているのかしら?」
私は微笑を深め、言葉を濁す。
だが、彼の瞳は揺るがない。
「私は確信している。君はただのヴァイオレットではない。
その奥に潜む“だれか”を、私は見ている」
医務室の空気は、治療の静けさと、正体に迫る緊張で張り詰めていた。
「おいおい……何を訳の分からないことを言ってるんだ、公爵様。
ヴァイオレットはヴァイオレットだろ?」
ルシアン様の肩に軽く手を置き、レオン様が苦笑混じりに言った。
その言葉に、場の空気が少し和らぐ。