悪役令嬢に転生したけど推しが中の人だった件について
第15章 『氷の微笑』発動!
「わ、わたくしは……負けませんわ!」
マーゴットは震える声で叫び、必死に最後の抵抗を試みた。
濡れたドレスの裾を握りしめ、風属性の魔力を呼び起こそうとする。
「証拠もないのに、わたくしを罪人扱いするなんて……!
この場で、あなたを黙らせてみせますわ!」
彼女の周囲に微かな風が渦を巻き始める。
だが、その魔力は不安定で、恐怖に震える心が制御を乱していた。
私は一歩前へ進み、氷の微笑をさらに深める。
「……最後の抵抗、ですのね。
けれど、あなたの風は私の氷に届きませんわ」
その瞬間、背後からルシアン様の声が響いた。
「やめろ、マーゴット。これ以上は自らの罪を証明するだけだ」
彼の冷徹な瞳が、彼女の魔力を封じるように光る。
マーゴットは必死に風を操ろうとするが、周囲の視線とルシアン様の威圧に耐えられず、魔力は霧散した。
「……っ、いや……いやぁ!」
彼女は叫び声を上げ、ロベルトの腕にすがりつく。
だが、好奇の視線は冷たく、誰も彼女を庇おうとはしなかった。
私は静かに言葉を重ねる。
「アメリアを傷つけ、友情の証を踏みにじった罪。
その代償から、もう逃げられませんわ」
マーゴットの最後の抵抗は、氷の薔薇の前に散り、彼女は完全に追い詰められた。
逃げる場所はない。
彼女はすっかり、侮蔑と嘲笑の的になっていた。
フロアに漂う緊張は最高潮に達していた。
マーゴット男爵令嬢は必死に風を呼び起こそうとしたが、ルシアン様の冷徹な一言と、私の氷の微笑に打ち砕かれ、魔力は霧散していた。
その時――。
「静粛に!」
重々しい声が響き、会場の空気が一瞬で張り詰める。
学園長が姿を現したのだ。
白髪を後ろに束ね、威厳に満ちた瞳でフロアを見渡す。
「舞踏会の場で魔法を乱用し、怪我人を出すなど、断じて許されぬ」
マーゴットは蒼白な顔で震えながら反論を試みる。
「わ、私は……何も……!」
だが、学園長の瞳は鋭く、彼女の声を遮った。
「アメリア嬢の足首に走った傷跡、そしてヴァイオレット嬢の腫れ。
魔道流動術をかければ、魔力の出処は明らかになる。
それでもなお、潔白を主張するか?」
その言葉に、マーゴットの顔はさらに青ざめた。