悪役令嬢に転生したけど推しが中の人だった件について
第9章 庶民感覚を取り戻そう!
その姿に影響され、彼らも次々と真似をして食べてみる。
「……これは、驚いた。香ばしくて旨い」
ルシアンが目を見開く。
「庶民の知恵ってやつだな」
レオンが感心したように笑う。
「……悪くない」
ユリウスが短く呟く。
「うん、これは興味深い!新鮮なうちに料理するとこういう食べ方ができるなんて!」
ノエルが水晶版に串焼きの絵や、味を詳細に書き出した。
アメリアも初めての串焼きに感動し、頬を赤らめて笑った。
だが、私のあまりにも庶民的な振る舞いに、男性陣の視線が揃って鋭くなる。
「ヴァイオレット……ずいぶん慣れているね」
「公爵令嬢がこんなことを?」
「……花嫁修業、ということか?」
私は慌てて笑みを作り、苦しい言い訳を口にした。
「ええ、これは花嫁修業ですわ! 将来のために、庶民の暮らしも学んでおかねばと思いまして」
しかし、彼らの目には疑惑が浮かんでいた。
庶民的な行動を隠そうとする私の言葉に、彼らはそれぞれの思惑を胸に秘めながら、炭火の魚を味わっていた。
炭の香りと笑い声が混じり合う中、友情と恋の火花は、静かに燃え続けていた。