悪役令嬢に転生したけど推しが中の人だった件について
第5章 ノエル・アルベリッヒ
それって、私だけに興味を持ってるってことじゃない?
この世界で、唯一無二の存在として見てくれてるってことじゃない?
(好感度+15どころか、+50くらい跳ねた気がする……!)
でも、令嬢としては優雅に振る舞う。
スカートの端を摘み、姿勢は崩さない。
語彙力が灰になっても、品位は保つ。
「……君の反応速度、前回より0.3秒早い。
感情波動の変化か、魔力の慣れか……興味深い」
(ちょっと待って、反応速度まで見られてる!?
それって、私の“ときめき”バレてる!?)
「……次回は、感情刺激を加えた状態での測定も試してみよう」
「……ええ。お好きなように、どうぞ」
(“感情刺激”って何!?それって、まさか、まさか──)
──でも、令嬢としては冷静に微笑む。
心臓が爆発しても、魔力は安定させる。
だって私は、雷属性研究者にも好かれる令嬢になるって決めたんだから。