悪役令嬢に転生したけど推しが中の人だった件について
第5章 ノエル・アルベリッヒ
「君を、観察したい」
「……え?」
「君の魔力構造、記憶の揺らぎ、感情波動。
それらを記録し、解析する価値がある。
君は、研究対象として……非常に興味深い」
(きた……!好感度+15、確定……!)
でも、彼の言葉は“冷たい”のではなかった。
それは、彼なりの“関心”の表現だった。
「……もし、君が協力してくれるなら。
僕は、君の“正体”を見つけてみたい」
「……喜んで。あなたになら、見つけてほしいですわ」
その瞬間、ノエルの瞳がわずかに揺れた。
それは、氷の表面に走る、最初のひびのようだった。
「では、次回の観察は火曜の第七講義後。
君の魔力波動を記録するには、安定した時間帯が望ましい」
ノエル・アルベリッヒは、いつも通り淡々と告げた。
その声は低く、静かで、どこか冷たい。
でも、私には分かる。