悪役令嬢に転生したけど推しが中の人だった件について
第2章 主人公と友達になろう!
――そして更に1週間後
「お嬢様、馬車の準備が整いました」
執事の声に、私は深呼吸をひとつ。
魔法学園『アカデミア・グランヴェール』。
貴族子弟と特待生が通う王国随一の名門校。
そして、乙女ゲーム『薔薇と罪の舞踏会』のメイン舞台。
「……行ってきます」
私は完璧に巻かれた銀髪を揺らしながら、馬車に乗り込んだ。
破滅フラグを回避するための第一歩。
“悪役令嬢”としてではなく、“改革令嬢”としての登校。
頭の腫れが無くなったので、今日から投稿することになった。
ちなみにまだ『記憶混濁中』である。
学園の門をくぐると、周囲の視線が一斉に集まった。
「ローゼン家の令嬢が戻ってきた」
「あの冷酷なヴァイオレットが……」
ざわめきが、まるでゲームのイベント開始の合図みたいだった。
でも、私は知っている。
このあと、主人公アメリア・ブランシュが登場する。
そして、ヴァイオレットが彼女に嫌味を言うことで、破滅フラグが立つ。
──だから、言わない。
むしろ、逆をやる。
破滅フラグ立ててたまるか!