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悪役令嬢に転生したけど推しが中の人だった件について

第19章 神楽坂蓮としおり


彼女の瞳が揺れ、頷いた。
涙をこらえたまま、その表情には確かな期待が宿っていた。

扉の向こうから現実が呼んでいる。
けれど、この楽屋の中にはまだ余韻が残っていた。
深く踏み込もうとした約束は、途切れたまま――しかし確かに二人の間に存在していた。

蓮様が去った後の静かな楽屋の空気に、胸が締め付けられる。
これ以上ここにいることは、きっと“声優・神楽坂蓮”に迷惑をかけてしまう。
そう思うと、足が自然と出口へ向かっていた。

けれど――ただ黙って去るのは違う。
彼の言葉、途切れた約束を胸に抱いたまま、何も残さないのは惜しい。

私は手帳を取り出し、メモ用紙を一枚破る。
震える手で、短い言葉を書きつけた。

「あなたの途切れた約束を胸に、私は前に進みます」

それだけ。
けれど、私のすべての想いを込めた言葉だった。

机の上にそっと置き、深く息を吐く。
そして静かに楽屋を後にした。
背中にまだ彼の温もりが残っている気がして、涙が零れそうになる。
でも、私は前に進むと決めた。

スタッフとの打ち合わせを終えて楽屋に戻ると、机の上に一枚の紙が置かれていた。
見慣れない筆跡。
手に取ると、そこには短い言葉が記されていた。

「あなたの途切れた約束を胸に、私は前に進みます」

胸の奥が熱くなる。
彼女は確かにここにいた。
そして、俺の言葉を受け止めてくれた。

約束は途切れたまま。
けれど、その続きを求めるように彼女は前へ進むと書き残した。
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