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悪役令嬢に転生したけど推しが中の人だった件について

第16章 神楽坂蓮と『氷の薔薇』


だが、私は令嬢らしい微笑を浮かべ、ゆっくりと彼に近づいた。

医務室の空気は張り詰めていた。
ルシアン様の瞳は鋭く、私の奥に潜む“しおり”を見抜こうとする。

だが、私は氷の微笑を浮かべ、ゆっくりと彼に近づいた。
「まぁ……公爵様は随分と幻想的なことを仰いますのね。
でも、もしわたくしの中に“誰か”がいるとしたら……それは、あなたが見たい夢の中の幻影でしょう」

ルシアン様の瞳が揺れる。
私はさらに一歩踏み込み、彼の耳元に囁いた。
「それとも……公爵様が私を特別に見すぎて、幻を見てしまったのかしら?」

その瞬間、彼の肩が僅かに強張った。
氷の公爵と呼ばれる男が、私の言葉に動揺している。

「……君は、ずるい」
低い声が漏れる。

私は氷の微笑を深め、軽やかに身を引いた。
「ずるい?まぁ、女性はいつだって少しずるいものですわ。
それを見抜けない公爵様こそ、まだまだですわね」

レオン様が吹き出し、ノエル様は水晶版に「翻弄イベント発生!」と書き込み、ユリウス様は呆れたようにため息をついた。

ルシアン様はしばし黙し、瞳を細める。
「……君は私を試しているのか?」

私は氷の微笑をさらに深め、静かに答えた。
「試しているのではなく、楽しんでいるのですわ。
公爵様を翻弄するのは、思った以上に愉快ですもの」

その言葉に、氷の公爵の瞳が僅かに揺らぎ、医務室の空気は一瞬で変わった。
追い詰められるはずだった私が、逆に彼を翻弄していた。
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