第1章 いつか夜が明けた時には
阪神共和国でモコナの口に飲み込まれたあと、たどりついた高麗国の蓮姫。
一行は着いて早々、武器を持った男達に囲まれてしまった。
ただ、男達のボスであろう領主の息子を小狼が蹴り飛ばしてしまえば、そそくさと撤収していくようだったが……
「なかなか綺麗な肌の女子を連れているではないか」
に気づいた息子は、の頬にすっと手を添えた。
「しかも、そんなに足を出しているということは、娼婦か?」
は、セーラー服を着ている。
確かにスカートは膝上だが、そこまで極端なミニ丈ではない。
しかし、この国では、これでも足を出していることになるのだろう。
そして、疲れた様子を見せる住民たちと比べれば、まだ旅を始めたばかりのの肌は綺麗に見えるだろう。
その無骨な手が足まで伸びてこようとした時、ファイがいつも通りの声で「なにか用かなー?」と言いながら、息子の手をつかんだ。
「お前、なんだ!この女子の連れか!?」
ファイは答えないが、息子は殺気を感じとったのかから手を放し、
「この無礼の報いを受けるぞ!覚悟しろ!」
と言いながら、ようやく立ち去った。
「ちゃん、大丈夫ー?」
「ファイさん、ありがとうございます……。
びっくりしちゃって……」
ファイがいつも通りの笑顔でに話しかけている横で、黒鋼は「ボケっとしているからだろ」とぶっきらぼうな様子だった。