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【ツバサ/ファイ】短編集

第4章 重症:ヒロインside


私達は、インフィニティという国にいる。
人間を使ったチェスという悪趣味極まりないゲームに、サクラちゃんが参加したいということで、この暗い国にしばらく滞在することとなった。

私には戦う能力がないから、モコナと一緒にお留守番だ。
モコナと2人なのに、前みたいに明るく振る舞えない。

沈んだ気持ちが晴れないまま、4人が帰ってきた。
モコナと2人で出迎えて怪我を手当てする。

全員のことが心配なのは勿論だけど、どうしてもファイさんのことが一番気になってしまう。
彼は、餌となった私に、そんなことは望んでいないという態度をしてくる。
それでも、
あの優しいファイさんが忘れられなくて、私はなるべく笑顔を作る。

怪我の手当が終わると、黒鋼さん以外は早々と各々の部屋に入ってしまう。

そのタイミングで、だいたい私はファイさんの部屋に向かう。
彼に血を分け与えるために。

「おい、今日も魔術師に血を飲ませるつもりか」
「はい、もちろんです」
「顔色が悪い。今日は俺が……」
「大丈夫です……!」

黒鋼さんは大事な戦いの役目を持つ人。
たから、血は大切にしてほしくて、私は彼にほとんど餌としての役割をさせてない。

そして……。
血を与えるタイミングだけは、ファイさんの優しさが私にもまだ向けられる気がするから。

黒鋼さんも呆れたように、部屋に戻ってしまった。
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