第4章 深すぎず浅すぎず、近すぎす遠すぎず
その翌日。
みさきちゃんが、ひとりでのところに来た。
「……ちゃん。
昨日の靴のこと、怒ってる?」
は静かに首を振った。
「怒ってないよ。
でも……悲しいよ。」
みさきちゃんの手が止まる。
「……だって……
ちゃんだけみんなに好かれて……
ずるいよ……」
その言葉で、
はやっと理解した。
(ずっと苦しかったのは、みさきちゃんも同じなんだ……)
だけど――
仲良しの形には戻れなかった。
は静かに言った。
「……みさきちゃん。
わたし、あなたを嫌いじゃない。
けど……ああいうことされると、一緒にはいられない。」
みさきちゃんはうつむき、
泣きそうになった。
「……ごめん……」
それが終わりの合図だった。
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放課後。
ミナがの肩をぽんっと叩いた。
「よっ、ちゃん!
帰ろう!」
「……うん!」
ミナは言う。
「友達ってさ、
無理して繋がるもんじゃないよ。
合う子とだけ、ちゃんと繋がればいいんだから!」
は小さく笑った。
(ミナちゃんといると……楽しい……)
校門を出る頃には、
痛みよりも
新しい優しさの方が少し勝っていた。