第4章 深すぎず浅すぎず、近すぎす遠すぎず
初登校の日。
ランドセルを背負ったは、
玄関で靴紐を結びながら不安そうに眉を寄せた。
「……ジーニー、ほんとに……
わたし、学校行けるかな……」
ジーニストはしゃがみ、
の肩に手を置く。
「大丈夫だ。
君は強い子だ。」
その落ち着いた声音は、
まっすぐ胸に響いた。
「行っておいで、」
は深呼吸して、
ゆっくり頷いた。
(……こわくても、大丈夫。
ジーニーがいる。)
そして歩きだす小さな背中を、
ジーニストは静かに見送った。
⸻
教室には笑顔の家族が溢れていた。
母親に髪を整えてもらう子。
父親に写真を撮られる子。
には、隣に誰もいない。
(……そうだ、わたし……もうママもパパもいないんだった……)
胸がぎゅっと痛くなり、
でも涙は出さなかった。
席に座っていると、
隣の女の子が声をかけてきた。
「ねぇ……お母さんは?」
は少し固まり、
小さく答える。
「いないの。」
女の子は困った顔になり、
何も言えなくなった。
(変な空気になっちゃった……
どうしたら、いいんだろ……)
この瞬間、
“普通の子”との違いが
強く胸に残った。