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ヒカリノキオク【ヒロアカ】

第3章 はじめましての訓練


公安からいなくなる前の最後の手続き。
は書類の前で手を止めた。

“”
その文字を見るだけで、胸が痛くなる。

母の笑顔。
父の腕。
悲鳴。
血。
焼ける匂い。
助けに来なかった過去の大人たち。

その全てが蘇る。

「……この名前……
呼ばれると、まだ……つらい、かも……」

ホークスは息を呑む。
ジーニストはただ静かに待った。

「新しくしてもいいんだよ」
ホークスは言う。

「君の選択を尊重するよ。」
ジーニストも言う。

は、小さく震えながら顔を上げた。

「……新しくしたい。
あの時の名前のままだと……まだ痛いの。」

ホークスの目が優しく揺れる。

その時、はそっと言った。

「……ねぇ、ジーニー。
ジーニーの……名前、もらってもいい?」

ベストジーニストは驚き、
ゆっくりと微笑んだ。

「もちろんだ。
その願いは、光栄だ。」

「じゃあ……今日から……
『袴田』だね。」

ホークスは笑って言う。

「いいじゃん、“袴田”。
似合ってるよ。」

は恥ずかしそうに微笑んだ。


ジーニストの家は、
静かで温かくて整っていて、
初めての“普通の家庭の匂い”がした。

「ここが……わたしの家……?」

「そうだ。君の新しい家だ。好きに過ごすといい。」
ジーニストは優しく返す。

部屋にはのためのベッド。
書棚。
小さな机。
新しい生活がそのまま詰まっていた。

(……あったかい……)

の胸はじんわりと満たされていく。
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