第3章 はじめましての訓練
公安を出てすぐの部屋で待っていたのは――
紺色のスーツに身を包んだ、落ち着いた雰囲気の男。
「さん。
君の新しい後見人、ベストジーニストです。」
整った佇まい、低く柔らかな声。
“強さ”と“安心”が同居していた。
しかしは無意識に一歩後ろへ下がる。
(……こわい……でも、こわいって思っちゃだめ……)
震える声で、
「は、はじめまして……」
ベストジーニストはゆっくり膝を折り、
と同じ目線になって微笑んだ。
「怖がらなくていい。
君を守るために来た。」
その一言が、心に確かに届いた。
横でホークスがぼそっと言う。
「見た目カタいけど、悪いやつじゃないよ。
それとジーニストさんとは2度目ましてだよ」
「え、」
「ホークス君、余計な一言だ。」
「ほら俺の剛翼以外に一つだけコピー出来た個性あるでしょ?あの個性の持ち主さん。それと、」
ベストジーニストは、少し微笑んで立っていた。
その姿に、の胸がじんわり温かくなる。
(……あの時の人だ……)
幼い頃、
両親が襲われたあの日——
絶望の中で現れ、を助けてくれたヒーロー。
強くて優しい手が、の小さな心を守ってくれた。
「……ありがとうございます。
あの時、助けてくれた……」
は小さな声でそう言い、深く頭を下げた。
ベストジーニストは少し驚きながらも、優しく微笑む。
「……覚えていてくれたのか」
「はい。
あの時、怖かったけど……
でも、助けてくれて、本当にありがとうございました」
彼は静かに頷く。
「君がこうして無事に成長してくれたことが、
何よりの報いだ」
は小さく息を吐き、少しだけ笑った。
(……この人となら、また家族になれるかな)
は小さく笑った。
その微笑みを見て、
ジーニストの目がわずかに柔らかくなる。