Welcome to『Whale Hole』 u/s/s/s
第1章 Welcome to『Whale Hole』
翌日
彼らはいつも通りの仕事をこなしていて、いつも通りの笑顔で、いつも通りの会話を交わしていた。
ただには、その状況が恐ろしくもあり、彼らの本当の姿が気になって仕方がなかったが、何とかその日の仕事を淡々とこなしていった。
そして夜。
「Welcome to 『Whale Hole』」と書かれたカードの裏面には住所、日付、時間が印字されていた。
その場所はビル街の裏通り。
地図アプリを頼りにたどり着いた場所は、看板も何もない黒塗りの鉄扉がある怪しげな施設だった。
「(こんなの……本当に来ていい場所なの?)」
ノックを迷う彼女の耳元で、突如スピーカーが音を鳴らした。
セ:「入ってええよ。……」
自動で扉が開く。
中は沈黙しかない。
黒い床、黒い壁、吸い込むような空気。
それなのに、の足は拒まない。
むしろ──少し震えつつも、進もうとしていた。
奥の部屋の扉が開き、4人が待ち構えていた。
その部屋は、異様なほど静かだった。
志:「よう来たな。ようこそ、“Whale Hole”へ」
坂:「来るとは思わんかったわ……いや、ちょっと期待してたけど」
セ:「来たってことは、興味あったんやろ?」
う:「それとも……覚悟できてた?」
は息を呑んだ。
ほんの少しでも返事を誤れば、戻れなくなる──そんな空気だった。
そして部屋の異常さに気づく。
部屋の一角──視界の端にだけ、鏡張りのパネルが据え付けられていた。装飾にしては位置も幅もおかしい。
光を受けたその面は、見る角度によって奥の気配が揺らぎ、まるで“こちら側だけが見えていない何か”が潜んでいるようだった。
そして、中央には柔らかな照明に照らされた大きなベッド。
シーツは乱れていないのに、妙に生々しい気配を帯びている。
両脇には拘束具にも見えるレザーのストラップが固定され、棚には用途を想像させる器具がずらりと並んでいた。
甘い香りとわずかなアルコールの匂いが混じり、呼吸を吸い込むたびに胸の奥がざわつく。