第4章 残る想いと結ぶ誓い
「寝るんはええけどな。寝る相手は間違えんなよ。俺の嫁やねんから。」
その言い方があまりにも独占的で、しかしどこか子供っぽい。
仁美は布団の中で小さく笑ってしまう。
直哉はその笑みに気づき、少しだけ目を顰めさせた。
「笑うなや、ほんまムカつく。」
布団の中、直哉は仁美の横顔をしばらく見ていた。
そして、ぽつりと落とす。
「……悟くんとは、実際どうやったん。」
その一言で、仁美の肩がほんの少しだけ固くなる。
仁美はゆっくり体を反対側へ向け、直哉に背を向けた。
「……その話、したない。」
直哉はその背中を見つめたまま、しばらく何も言わなかった。
それが答えのようなモノだった。
どうやら何もなかったわけではないようだ。
「…ほぉーん…。」
それだけ言って、直哉はその話題を手放した。
浅い息をひとつ吐き、仁美の肩へ軽く手を置く。
「寝るわ。……ちょいだけ。」
仁美は直哉の声を聞いて背を向けたまま、目を閉じた。