第5章 白銀の面影と漆黒の断絶
初めての呪力の肩代わりは、仁美の身体に想像以上の負担を残した。
目を覚ましたあとも力が戻らず、結局、三日間ベッドから起き上がることすらできなかった。
悟はその三日間、ほとんど部屋を離れなかった。
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四日目の朝、仁美がゆっくりと目を開ける。
視界に最初に映ったのは、ベッド脇の椅子に腰掛けている悟だった。
「……おはよう。」
そう言って、悟は何の躊躇もなく身をかがめ、仁美の額に軽く口づけた。
仁美は一瞬目を瞬かせ、すぐに顔を背ける。
「……待って。三日も寝とったから、体……汚いと思う。」
「関係ないよ。」
そう言いながら、もう一度距離を詰めようとする。
だが仁美は、はっきりと首を振った。
「……嫌。一回、ちゃんと体、洗いたい。」
悟は一瞬、言葉を失って少し仁美と距離を取って言った。
「じゃあ、俺が――。」
「それは……嫌。」
悟の言葉を遮るように仁美は強く言った。