第2章 トリップ出来たんですけど
NARUTOの世界に…
『来てたりして…?』
まっさか~。と窓の縁をバンバン叩いて笑ってしまった。
夢小説のトリップ物を読んだこともある。いいなぁと思っていたけれど、そんなことが本当に起こるわけがない。
少しの期待を自ら振り払うように、フフと乾いた笑いを漏らす。
ふと、部屋の扉をノックする音に振り替えると、本日何度めかの衝撃に見舞われた。
「ちょっと瑠璃!あんた窓際でゲラゲラ笑ってないで、早く準備なさい!今日から仕事でしょ!」
『お…母さん…、どうしたの?』
「何がよ!?」
『いや…なんか…若くない?』
母と分かる。面影がある。
しかし、あきらかに若いのだ。
「いやだも~何言ってんのよ」と
照れている母は置いておいたとしても
やはり、おかしい。
真っ赤な髪の毛の父。
何故か若返っている母。
あきらかに違う町並み。
あきらかに違う自分の家。
ぐるぐると思考を巡らせている私は、母の決定的な一言に耳を疑った。
『ちょ、ちょっと待って!お母さん今何ていったの?』
「だから…今日からあんた上忍待機所で事務につくんでしょ?早くなさいよ!初日に遅刻なんて…クビになるわよ?」
オーマイガー…。
『お母さん…私、トリップしたみたい!タイムトリップしたみたい!異世界トリップしたみたい!!!』
馬鹿なこといってないで早く準備しなさい!と一喝された私は、タイムトリップというあり得ない出来事に巻き込まれたのだった。