第7章 あんた本当は…
皆からの盛大な驚きの声に、びっくりして、座ったままお尻をずるように後ろに後ずさってしまう…。
「な、泣いて感動するくらい……ってことだってばよ…?」
「瑠璃さんって…オジサン好き…?」
「物好きもいたもんだよね~?」
「あっははははは。面白い娘だね~?」
「ナルトの知り合いは変な奴が多いんだよ…」
「こ、これは青春ってものでしょうか!!ガイ先生!!」
沈黙から一転、怒濤のように皆から飛び出してくる言葉に、ただただ戸惑う私。何かまずかっただろうか?
気がつくと、オロオロする私の手を取り、にんまりと上機嫌な自来也様が机に乗りだし私の顔の真ん前にいた。
「ええのぉ~べっぴんさんな上に、男を見る目がある!!うむうむ…。どうじゃ…わしが手取り足取り腰とり色々と教えてや…」
――だまれ!!エロ仙人!!!!!!!!――
その場にいた皆からの強烈な突っ込みに、いじけて体育座りをする…伝説の忍だった。
(なんじゃみんなして…
敬う気持ちってもんがないんかのぉ~?)
(ウルサイ馬鹿者!!本当変わらないなお前は!!)
感動の出会いは、皆からの突っ込みと、
綱手様が襟足を引っ張って退場させたことで、数分で終わってしまった。
―――――……
憧れのナルト君達との食事会だけでなく、大好きで何度も読み返した本の中のヒーロー達と、自分がまさか宴会できるとは思うはずもなく、一時の夢と知りつつも私は心の底から喜び笑えていた。
楽しい時間はあっという間にすぎていき、何人かは二次会に繰り出すとのことだったが、私は焼肉屋の前で皆にさよならをした。
ヤマトさんが送ってくれると言ってくれたが、然程遠くもないため、一人家路を歩くのだった。
あとひとつ角を曲がると家という所で、見慣れた人影に、私は足を止めた。
月夜に照らされた銀髪が透き通るように綺麗で、それだけで絵になるその人は、いつもの一文字の目で微笑む顔ではなく、まさしく銀狼のような鋭い眼差しだった。
「あんた本当は…」
彼の口から出た言葉に
私は…ただ狼狽えることしか出来なかった。