第7章 あんた本当は…
お座敷の席についた私は、今だ速いテンポで打ち続ける鼓動に、落ち着けと言い聞かせるよう自分の胸に手をあてる。
「瑠璃さん…ごめんなさい。知らなかったとはいえ、年上の方に馴れ馴れしくしてしまって」
席につくなり、サクラさんが申し訳なさそうに顔の前で手を合わせ謝罪する。
そんな些細な仕草も可愛い…。
憧れのサクラさんと、こうやって隣通しで話してるこの現状も、今だ信じられず見つめてしまう。
『あっ!!いえ…そんなこと気にしないで下さい。私なんてただ年が上なだけで、サクラさんみたいに強くないですし、全然しっかりしてなくて…もうダメダメで…』
「私なんて…か…変わらないな太巻。」
謝るサクラさんに、こちらこそと慌てて言葉を返していると、斜め前からヤマトさんが声をかけてきた。
「ダメだぞ!!瑠璃ちゃん!!私なんてって言葉は良くないってばよ!!」
すかさず、向かいに座るナルト君が、前のめりになりつつ話しかけてきた。
「さっきヤマト隊長から聞いたってばよ!皆から攻められたとき、瑠璃ちゃんだけが助けてくれたって。それってすげーことだってばよ!!」
私が…ヤマトさんを…?
勿論だが、覚えているはずがない過去の話し。
私が助けた…。
ナルト君の話を聞いて、ボーッと考えている私を、端の席から見つめる視線に、私は勿論のこと気づくことは出来なかった。
「いたいた!!初めまして♪や~ん、お人形さんみたいじゃない!!」
「本当本当!かっわいい~」
突如両側から挟まれ、髪の毛を撫でられたり、ほっぺをつつかれたりされ、私は緊張のあまり固まってしまう。
「紅先生に…アンコさん…。結構飲んでます?」
「わりぃなサクラ…出来上がってるみてぇだわ」
上機嫌で私に絡む二人の後を追うように、アスマ先生が申し訳なさそうに頭をかいて着いてきた。
すっかり保護者代わりである。
そして、すっかり遊ばれている私は、豪華な面々との接触にまたも倒れそうなほどに感激していた。