第4章 夢だけど夢じゃなかった
「近所の花屋で働いてたが、そこの店が閉めるってなったからな。瑠璃は真面目だし、事務仕事はむいてると思ったんだよ」
ホッ…。どうやらニートではなかったみたい…。
自分の馴れ初めにいちいちリアクションをとる様は、きっとはたから見たら何とも不思議ちゃんにうつるのだろう。
『ありがとう。お父さん。たくさんお話聞けて楽しかった♪今度こそお休みなさい』
――――――……
木ノ葉病院へ向かう道中、昨日の父の話を思い返していた…。
普通の家庭でよかったのに、お父さんが忍だなんて。
思っていたよりも、作品の重要人物と面識がある父。
私は存在しているようで、していないもの。異物の存在であることにかわりない。だから、なるべく目立たないように過ごさなきゃと思っていた矢先の出来事だった。
『はぁ……』
待合室で呼ばれるのを待っている間も、ため息がもれる。
嬉しくないわけではない。でもやはり胸のどこかに罪悪感にも似た感情が渦巻いている。
「え…太巻!?」
突然名前を呼ばれ、自分の番になったのかと立ち上がり、声の主の方を向くと、私は動けなくなった。
声の主はもちろん…その隣にいる彼は、
一番会いたかった人。
金髪に笑顔が似合う、そう彼は…。
「なっ!えぇええ!!!!!?」
私は考えるより先に彼に抱きついていた。
人と関わることに臆病になっていた私にしてはかなり…否、すごく大胆だと自分でも驚いていた。しかし、そんな気持ちをも凌駕するほどに感激していたのだ。
『ずっと…ずっと会いたかったの…』
え~~~~~~~~っ!?
名前を呼んだ人物と一緒にいたサクラさんと、抱きついた彼の驚きの声が聞こえるが、私は構わずに続けた。
『私の…ヒーローです。嬉しい…』
「お、お、オレ!?」
夢だけど夢じゃなかった!?
夢だけど夢じゃなかったぁ!と
某素敵アニメで姉妹が喜んではしゃぎまわるのが、今なら分かる気がする。
いつも勇気と元気をくれた、
うずまきナルトとの再会を果たしたのだった。
胸に渦巻く罪悪感はどうした!と
神様に突っ込みを入れられた気がした。