第1章 1話
「なぁ、あれ。やばくね?」
忘年会で集まって飲んでいたら一緒にいたやつに顎で向こう側を刺されたので自然にそちらの方に目を向けた
目線の先には今回の集まりの割と重要人物であるプロデューサーと、脚本家の燕先生(つばめ)だった
「あのプロデューサー。絶対狙ってんよな」
そう言われて周りの奴らも、あぁ。確かに。と若干呆れも含まれた声色をあげた
「あの人さ。前にも見た。酒に酔わせてホテル街消えてくの。まぁ、あん時は相手も満更でも無さそうだったけど」
「俺も前にバー飲みに行ったら何回か見たけどいつも違う女連れてた。」
「うわー。燕先生可哀想だけどめんどくせー。関わりたくない。不機嫌なプロデューサーだるいんだよな。」
口々にそんな事を話してて
ふともう一度視線をやる
プロデューサーに絡まれてるとは気付いてない燕先生はマシンガントークを繰り広げられてるのを優しい笑みで(若干引き攣りながら)酒を飲み
そしてまた新しいのを頼まれてた
「なんで今日りんさんいねーんだよ。」
今日不在の女の子の救世主は燕先生と仲が良くて
「ま、こういう時は大地だよな」
「あ?」
いや、なんで俺…
「だーって。お前そういうの得意じゃん。修羅場」
「いや、俺はそういうのないから」
いやいやいや、と口々に否定される
「だからだよ。お前が女の子連れて歩くなんていつものことだろ。あとそれ全部問題なくさせる人柄と人望」
「……なんか高く買われてんだかなんだか」
「こういうのの切り抜け方得意だろ」
「あ!待って!いー事考えたわ」
そう言って日本酒をばかすかあけてる1人がアホな事言い出した
「俺らでこれ終わったあとクラブ連れて行ってもらって。燕先生よりえろえろなお姉さんとこに捨ててこよーぜ」
なんつーことを…
まぁ、でも。
やられても欲が満たされれば羽振りの良いあの人なら満足かもな