第5章 5話
先に来てた和さんに、お疲れ様です。と言って向かいに座ると
「きたきた。放浪犬。どこほっつき歩いてんだか」
ニヤニヤ笑いながらメニューを渡されて
適当に頼んでニヤニヤに向き合う
「案外ご近所だったりして」
わざとそんな風に言うと、へぇー。と乾き物をぽりぽり齧ってて
「秋ちゃんが幸せならね。それでいいんだけど。たまには構ってやってよ?」
「それはゆりの事?」
そう言ったらまたニヤッとしてて
「寂しがりやなのよ。秋ちゃんのお気に入りの場所ちゃんといつでも使えるようにしてんだから」
お気に入り場所っていうのは
多分ソファの一角のことで
ゆりと和さんからのプレゼントの毛布と枕がいつも置いてあって
それをゆりはいつも整えてくれているのだろう
「ありがとうございます。なんか家族愛感じちゃってます」
「んふふ。…そうね。それは大いにあると思うよ」
きつめなお酒を氷ごと口の中でころころ転がしながらそんな事いわれて
「…………住民票。移そうかな」
「そのうちね」
なんか今日はご機嫌なのか全部肯定してくれる大好きな先輩
「まぁ、でも。今の場所も満更でもないんでしょ?」
意味深に聞かれて
「……そうっすね。でも悶々とするっつーか」
明後日の方向見ながらなんか色々考えて
「あんまり………。人に抱いちゃいけない感情があったりね」
「…………くふふっ。また下ネタ?」
「いやぁ、、そうっすね。………あー。ゆりには絶対言えねー」
頭をガシガシ掻きながら自身も強めな酒を煽る