第8章 弱音と強がり
『すみませんでした…』
BARの一角で、マイはアスマと紅に頭を下げて謝罪する。
大通りで大の大人が号泣していた為に、人通りの少ない夜にも関わらず、周りに人が集まってきてしまい、近くのBARへと入ったマイ達3人は、カウンターではなく、奥のテーブル席についていた。
大泣きした恥ずかしさからか、顔を伏せ耳まで真っ赤にしているマイを紅が凝視する。
『あ…あの……』
「マイ…やっぱり超絶美人じゃない!」
『……え?』
何があったのかを、絶対に問い詰められると思っていたマイは、素っ頓狂な声をあげ、紅を見つめ返し、
紅の隣に座るアスマも又、呆れたように片眉をあげ、紅を見る。
「マイさぁ…口布に絶大な信頼を置いてるみたいだけど…、輪郭バレバレなんだから、あんまり意味ないわよ~?」
"マイ"と呼び捨てにされた事に、更に驚く。確かに最近話すようになったのだが、先程の飲み会までは「ちゃん」付けだったはずなのに、突然呼び捨てに変えるだろうか…。
どちらかと言えば、昔呼ばれていた呼び捨ての方がマイはしっくりくるのは確かなのだが…。
そう…しっくりくるのだ…。
何かに気づき、アスマに顔を向けると
「ばれてるぞ…とっくにな」
タバコをふかしながら、さも当たり前のように返ってくる言葉に、何故という表情で驚く#マイ#。
考えられるのは一つしかない…。
『アスマ先輩の…薄情者!!!!』
「………お前なぁ………。」