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【NARUTO】水神姫は月夜に笑う【長編】

第7章 知らない貴方



ダンッ!!!!
壁にヒビが入る程の力で拳を叩きつけるカカシ。



「…っつ…何やってんだ!!俺は!!!」







―――――……








何も考えず、ただひたすらに走る。
どうしてこうなってしまうのか
離れていた年月は、こんなにも縮まらないのか。
マイは口布を上げることも忘れ
夜の里を走る。


ふっと走る歩みを止める。
思い出されるのは、知らない女とキスを交わすカカシ。
自分を力で押さえ付け唇を奪うカカシ。
一人毎日慰霊碑に佇むカカシ。
演習で見せた、オビトを思わせるカカシ。

毎日笑顔で会いにきてくれるカカシ。


マイは道端であることも忘れ、その場にしゃがみこみ泣いた。

知らない時間を過ごしたカカシを、短期間にあまりに見すぎた為、だろうか。
胸を締め付ける、この想いに気付いてしまったからであろうか。
鼻を掠めた知らない香水の匂いに、腹をたてたからだろうか。

マイは整理のつかない頭をかかえ、
ただ泣き続けた。







「ちょっと…マイ…ちゃん?」

頭上からかけられた声に顔を上げると、
そこには紅とアスマが立っていた。
知らぬまに逆方向へと走り、町中に戻ってきていたようだ。

口布をさげ、素顔のまま泣きじゃくった顔をみた二人は目を見開いて驚く。


「お、前…どうしたんだよ!」

昔から優しかった二人の姿を見たマイは、考えるよりも身体が先に動いていた。



『…っくっ…紅…先輩…』



紅に抱き付き泣き続けるマイ。
「夕日上忍」ではなく
「紅先輩」と溢すマイに一瞬驚き、
アスマへと視線を移す紅。

アスマは無言で頷き、それだけで紅はおおよその事を理解したようだ。

詳しいことは後にするとして、
紅は懐かしい同僚のマイとの思わぬ再開に苦笑しつつも

優しく優しく、落ち着くまで抱き締めてやるのだった。

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