第7章 知らない貴方
パーンッ!!
辺りに響き渡る乾いた打撃音。
「調子に乗ってんじゃないわよ!!…
あんたなんか、すぐ飽きられて捨てられるわ!!」
金切り声にも似た女の叫び声が耳をつんざく。
「こんだけ時間がたつのに…あんたキスもされてないんでしょ?抱かれたこともない…わよね…あははははは」
なんで…
なんで…こんなことになるんだろう…
――――……
「お疲れ様ぁ。これ宜しくね♪」
『あ!夕日上忍。お疲れ様です。確かに、承りました。』
「うっふふふ…相変わらず堅いわね…マイちゃん」
任務を終えた、夕日紅は受付に任務報告書を提出しにきていた。ウェーブがかった黒髪に、端整な顔立ち、抜群のスタイルを誇る女忍である。
紅一人でも目立つが、受付にいるマイとのツーショットともなると、周りの男どもはざわざわと落ち着かない様子である。
昔は紅とも仲の良かったマイは、また紅と関わるようになった今、自然と会話する間柄になっていた。
「分かる分かる~かたいよね」
「あら、カカシじゃない。あんた最近用もないのに受付にきてるって噂よ?」
ニコニコと現れたらカカシに、紅が悪戯な笑みを向け茶化す。
「そんなことな~いよ。ちゃんとお仕事してるでしょうが。はい、これ。」
『お疲れ様です。カカシさん。お並びになってから、もう一度報告書を出してください。』
思いっきり営業スマイルを振りかざし、
マイはカカシに言う。
「え~連れないんだからねぇ」
だいたい君達、隣が空いてるでしょうよ!と並んでいる男達にブツブツ文句を言いつつも列に並びにいくカカシを見て、マイと紅は顔を見合わせて笑った。