第2章 水神姫
その昔…
水に愛された一族があった。
その者達は皆、美しい容姿を持ち
水遁をもっとも得意とし、水遁を織り交ぜながら戦う体術は国ーとまで称されていた。
その一族の名は
【水流園一族】
しかし九尾襲来の際、その混沌に紛れ他国の忍により
全滅
したとされていた…
漆黒の闇が包む森を
一人の暗部が疾風のごとく突き進んでいた。
闇に熔けるような漆黒の黒髪を一つに結い、申の暗部面をつけたその者は、火影の命により抜け忍の抹殺に向かっていた。
何かを発見したのか
足を止め、木の枝の上で気配を完全に断つ。
その数メートル先にいる目標をしっかりと捉え
一気に戦闘を仕掛けた。
それはまさに一瞬…
突然の気配に振り返る忍だったが既に遅く
辺りに血飛沫が舞う…
疾風のごとく
舞うように戦う姿は
いつしか
こう呼ばれるようになった
木ノ葉の水神姫 と…
クナイについた血を振り落とし
彼女は面を外し空を見上げた
その者の白く美しい容姿は
月明かりに照らされ神をも彷彿とさせた…
『血は…やっぱり慣れないな…』
少し哀しげな表情で月を眺め
すぐに面をつけ、里へ戻る為その場を離れた。
水神姫…
水流園 マイは
静かに漆黒の闇へと消えていった。