第13章 交錯する想い
辺りを静寂が包み込む…。
大木についたいくつもの傷跡。
折れた枝に散った葉…。
先程までの死闘がウソのような
静寂…。
クナイで支えられるように、大木に貼り付けにされ、気絶しているナルト。
戦いの末、呪印によって苦しそうに蹲るサスケ。
そのサスケを抱きかかえるようにして、震えながら泣きじゃくるサクラ。
『サクラ!サスケを見せて!
…呪印…。私がもっと速く動いていれば…っ』
「…あっ…わ…わたし……」
草忍の女が大蛇丸だと名乗り、不振な動きを見せた瞬間、マイは大蛇丸へと向かっていった。
しかし、一足遅く呪印をつけさせてしまったのだった。
『ナルトに何かしたのは…おそらく九尾絡みか…。あの時点で私が戦闘に入っていれば…!』
悔しさから、唇をかみしめるマイ。
『サクラ!サスケは恐らく動けない。もしかしたら命が危ないかもしれない。でも私は、サスケの意志の強さ、生命力を信じる』
「ど…どうしよう…どうしたら…」
パーンッ!!!
サクラの頬に感じる痛みと、乾いた音が響く。
『サクラ!!!お前それでも忍か!!』
「あ…暗部さ…ん…」
『いいか!!ナルトもサスケも動けない!皆、チームの為に戦ったんだ!
命をかけて戦ってるんだよ!』
サクラの震えが少しずつとまり、目に力が戻ったのを確認したマイは、まっすぐサクラを見据えて続けた。
『叩いて悪かった…。
私は大蛇丸を追う。ナルトとサスケを…頼んだ。戦えるな?サクラ』
涙を拭い、力強く頷くサクラに、面の下で優しく微笑むと、マイは瞬身でその場を後にした。
サクラは暗部に約束した決意を心に刻むように、左頬に残る痛みに手を沿わせた。
「私が…私が二人を守るんだ……。私も七班の一人なんだから…。」